技術者ワーママ こころとからだの修理日記

技術職のワーママです。初期乳がん見つかったりうつになったり。でも何とか生きてます。

つくり話 再会①

シュガーの物語の続きのお話です。

 

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三木に促されてスタジオの中に入ると、若い男性が奥から出てきた。

「佐藤さんですね、はじめまして。李といいます。三木さん、準備はできてますよ。今日のアバターは簡易スキャンでいいですか?」

「ああ、それでいいよ。

佐藤さん、李さんはインターンで来てくれてる学生さん。日本語上手だけどアメリカから来てくれてるんだ。」

李はスマートフォンを掲げると、笑顔で

「じゃあ、佐藤さん、アバター作るので顔の画像撮らせて下さい。いい顔して下さい〜」

と彼の顔の前でスマートフォンを動かし始めた。しばらく動かすと、スマートフォンの画面を確認する。画面に軽く触れた後、彼に画面を見せた。

「顔はこれでいいですか?キメ顔で撮り直しもできますよ」

「え…あぁ、これでいいです。」

戸惑いながら答える彼に頷くと、ゴーグルとダイビングスーツのようなものを持ってきて彼に渡した。

「これ、スマートスーツとゴーグルです。服の上からでいいので着ててください。僕アバター作ってきます」

と奥の方に行ってしまった。奥にはパソコンと機械が並んでいる。

 

薄いゴムのようなスマートスーツに身体を何とか押し込んでいると、三木が嬉しそうに言った。

「娘は…優香はずっと君に会いたがってたんだよ。昨日、明日会えるかも、と伝えたら喜んでたよ。色々話を聞いてやって欲しい。多分同級生で会うのは君が初めてだよ。」

彼は驚きを隠せなかった。彼女が学校からいなくなってからもう10年以上経っている。高校の同級生、という意味なのか。スマートスーツのファスナーを上げると、彼は三木に尋ねた。

「三木さん。優香さんはどこから仮想空間に入るんですか?元気なんですよね?」

彼の質問に、三木は微笑むと彼の肩に手を置いた。

「元気の定義によるかもしれないが、彼女はこの中で僕らと話して、同じ時間を過ごす事ができる。僕はとても幸せだよ。」

三木の真意が分からず戸惑っていると、奥から李が戻ってきた。

「佐藤さん、三木さん、アバターが出来ました。じゃあ、佐藤さん、あのステージに上がってください。椅子があるので、そこに座ったら、ゴーグルをつけて、このボタンを押してくださいね。あと、ゴーグルにマイクとスピーカーがついてます。音が小さい時はここのボタンで調整できますよ、ではどうぞ!」

 

スタジオのステージに上がる。小さなテープで印のついた位置に、オフィス机と簡易ベッド、椅子が置いてある。椅子は動かないように床に固定されていた。その椅子に腰掛けると、ゴーグルをつけて、右側のボタンを押した。目の前にメーカーロゴが表示された後、小さな部屋が現れた。綺麗に整頓された、白とピンクを基調にした部屋。ベッドにはワンピースを着た女性が腰掛けていた。

 

「佐藤くん、久しぶり。」

少し聞き覚えのある、でも違和感のある声。

まるでゲームに出てくるヒロインのように、色白で儚げな顔立ちには、確かに三木優香の面影があった。

 

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