技術者ワーママ こころとからだの修理日記

技術職のワーママです。初期乳がん見つかったりうつになったり。でも何とか生きてます。

つくり話 隠された街 7

前回の続きです。

 

おじゃましまーす、と言いながら部屋に入ると、ラビは部屋の説明を始めた。部屋はダイニングテーブルが置かれ、カウンターキッチンと、扉が3つある。

「こちらがアキさん、リュウさんお二人の部屋になります。それぞれ1人ずつのお部屋があり、ダイニングキッチン、バストイレがついてます。家具や食器類、数十分の着替え、シャンプーなどのアメニティグッズも一通り揃ってますが、確認していただいて足りないものがあったら教えてくださいね。あと、食事は今日から2週間、デリバリーでお部屋まで届けます。デリバリーは建物の展示にあるレールをロボットが運んで玄関ドアの上にある専用スペースに届けてくれます。今日は夕食からですね、夕食と一緒に翌日の朝食も来るので全部食べないように注意して下さいね。メニューと、アルコール以外の飲み物やデザートなども表示されてるものなら選べます。あと、お仕事でお給料がもらえるようになれば、さっき紹介したスーパーやネットでの買い物ができるようになりますよ。2週間経ったら、基本的にお給料で必要なものを買って生活してもらうようになります。今のところこの街に来た方は全員お仕事見つかって生活できているので心配しないでくださいね。」

ニャーがテーブルの上にある箱を手で指し、

「あと、この箱は『ユウ』さんからアキさんとリュウくんへのプレゼントだそうにゃ。特別なんだって、羨ましいにゃ〜。あとで開けてにゃ。」

とニヤニヤしながら言った。何だろう?と首を傾げる横でラビが奥の部屋のドアを開けた。

「こちらが個室になります。2部屋とも中は同じです。ベッドとクローゼット、あとこれがVR用プラットホームです。リュウ君が学校で運動する時や、アキさんの仕事の時などに、ここに立ってバーチャル空間に入ると、自分で歩いて自由に動けるようになります。床部分もランニングマシンのように動くので運動にもなります。実際に運動するプログラムもあるので、色々試してみて下さい。このプラットホームに入って、この台にタブレットをセットすると行き先を選べてその空間に入れます。タブレットにチュートリアルがあるので、それを後で見ておいて下さい。」

ダイニングに戻ると、ラビは2人の顔を見て

「以上がお部屋の説明です。もし今わからないことな足りないものなど気がついたら教えてください。急に言われても思いつかないこともあると思うので、思い出したらタブレットからチャットで聞いてくれれば対応しますから慌てなくて大丈夫ですよ。何かあります?」

と聞いた。

「えぇと…ここでのお金ってどう管理されるんですか?例えばお給料の話があったんですが、仕事が見つかってからお給料もらえるまでの生活とか、銀行口座とか。スマホもないし、クレジットカード使えたりするんですか?」

「ここではお金の代わりにこの街の通貨代わりのポイントを使います。ここではそれぞれの人のゴーグルやタブレットにそのポイントが紐付けられます。日本円は使いません。タブレットを使って詳しく説明しますね。まず、アキさん、リュウ君のタブレットはこれです。ここで充電しながら部屋の中で使えます。」

ダイニングの壁に固定されていたタブレットを外して2人に手渡す。リュウは目ざとくゲームを見つけて遊び始めた。

「ゴーグルか顔認証でロック解除します。そのため、親子でも本人がいないと動作しませんから気をつけて下さいね。ホーム画面にいくつかアプリが入っています。まず、仕事のアプリがこのマーク、これで仕事の検索や登録、実際の勤務管理ができます。仕事が終わって業務の確認が終わるとすぐに給料としてポイントが貯まります。ここに表示されればOKです。後は、このアプリで買い物ができます。大手ECサービスのAで扱っている製品と基本的には同じです。一部携帯やパソコンなど扱いのないものがありますが、ここで生活するのに必要なものは揃います。街の中の実店舗で買えるものはこっちのアプリ、どちらも仕事で得たポイントを使います。あと、これはヘルプアプリで、わからないことはチャットbotで質問できます。チュートリアル動画も色々あるので、見てみるとわかりやすいですよ。あと、僕たちや『ユウ』にコンタクトしたい時は、botに名前を入れてくれれば呼び出せます。今日のところはこんな感じかな。他に聞きたいことありますか?」

「生活の光熱費や家賃とかはどれくらい必要ですか?」

「あぁ、普通に生活してる分にはかかりません。かからないというより給料ポイント払う前に天引きされてるイメージですね。生活に困るようなことにはならないと思いますが、仕事始めてみてそれでも心配なら相談しましょうね。」

ラビがタブレットに表示された時間を見て

「そろそろ夕食のデリバリーの時間ですね。僕たちも帰ろうと思います。もしわからないことがあったらタブレットで確認して下さいね。仕事はアプリで登録すれば指示が出てくるので早めに気になるものを始めてみて下さい。」

とタブレットをアキに渡して言った。

ニャーはリュウに話しかけた。

「リュウは明後日から学校が始まるにゃ。しばらくはお部屋から登校するにゃ。初日だけ僕がお手伝いしにくるにゃ。明後日の朝8時に来るから朝食と着替えを済ませておいてにゃ。」

ゲームをしていたリュウはチラッとニャーを見上げると「うん、わかった」と答えた。

ラビとニャーは玄関まで移動すると、

「じゃあ今日はこの辺で。ご飯食べて、お風呂入って、ゆっくり休んでくださいね〜。」

「バイバイにゃ〜」

とドアを開けて帰って行った。

 

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