技術者ワーママ こころとからだの修理日記

技術職のワーママです。初期乳がん見つかったりうつになったり。でも何とか生きてます。

つくり話

つくり話 隠された街 9

前回の続きです。 アキは千草の部屋から出ると、タブレットの画面をタップした。世話をしていた間の千草の健康状態が表示され、対応したケアの項目がチェックされる。任務終了と表示され、報酬としてのポイントがすぐ支払われた。リアルタイムで表示されるケ…

つくり話 隠された街 8

前回の続きです。 「佐々木さんこんにちは〜」 アキはドアを開けて部屋に入る。ドアの横にあるボタンを押し、デリバリーで届けられた1人分の昼食を取り出した。ダイニングのテーブルに置く。 「あら、田中さんの奥さん。いつも悪いわねぇ。」 奥の部屋から声…

つくり話 隠された街 7

前回の続きです。 おじゃましまーす、と言いながら部屋に入ると、ラビは部屋の説明を始めた。部屋はダイニングテーブルが置かれ、カウンターキッチンと、扉が3つある。 「こちらがアキさん、リュウさんお二人の部屋になります。それぞれ1人ずつのお部屋があ…

つくり話 隠された街 6

前回の続きです。 扉の外には煉瓦造りの街並みが続く。街路樹の緑が青い空に映えている。建物の入口に近づくと、扉の上に「小学校」「病院」などの文字が表示される。装飾のついた軍服を着た王子様の格好で、リュウは面白がって走りながら扉に近づいたり離れ…

つくり話 隠された街 5

前回の続きです。 「ママさんはどんな名前が良いかにゃ〜?」 ニャーに聞かれた彼女がリュウを見ると、 「『アキ』がいい!ドラゴンが守るお姫さまなんだよ!」 と目を輝かせている。彼が小さい頃から好きだった絵本。ドラゴンに変身できる能力を持つ王子様…

つくり話 隠された街 4

前回の続きです。 「改めまして、ようこそシェルターシティーへ!私たちはこの街のナビゲーター、"ラビ"と"ニャー"です〜!」 と、サロペットのうさぎ、ラビが笑顔で自分と隣のネコをフワフワの手で指しながら話し始めた。ニャーが隣でペコリと頭を下げる。 …

つくり話 隠された街 3

「ようこそ、『ケイ』さん。無事に到着出来て良かった。息子さんも元気みたいだね。ここまで来れば大丈夫、安全だから。」 彼女に『ユウ』は微笑みかけると言った。 「『ユウ』が助けてくれたから…ありがとう。ここはどういう場所なの?」 「車の中で『シュ…

つくり話 隠された街 2

前回の続きです。 『シュガー』が説明を続ける。 「では、車を降りる前に一つご協力をお願いしたいことがあります。今からお渡しするゴーグルを必ずつけてから降りるようにして下さい。ドアが開いたら、荷物をすべて持って車から降りてください。スタッフが…

つくり話 再会 16

前回の続きです。 blog.komomon.com 初めからはこちら。 blog.komomon.com しばらく状況が分からず、真っ暗な画面を見ていたが、ゴーグルをつけていたことを思い出して彼は慌ててそれを外して立ち上がった。 スタジオの奥の部屋で、李がパソコンの前に座って…

つくり話 再会 15

前回の続きです。 blog.komomon.com 初めからはこちら blog.komomon.com 翌週、彼は李のいるスタジオを訪れた。 「こんにちは佐藤さん、準備できてますよ。」 李は笑顔でゴーグルとスマートスーツを手に出迎えてくれた。彼はそれを受け取ると、USBメモリを差…

つくり話 再会 14

前回の続きです。 blog.komomon.com 三木との話を終えた後、李のいるスタジオに向かった。スタジオの奥にいた彼に声をかけて、優香と会える時間を来週に確保してもらった。 李も優香の状態が良くなっていることは聞いているらしい。 「ユウカはとても努力し…

つくり話 再会 13

前回の続きです。 blog.komomon.com 資料の内容を確認すると、開始時期は今から半年後以降とある。早く形にしたい、と三木は以前話していたのでそれまでどうするかを確認すると、 「じゃあ、リソースかけずに佐藤さんのできる範囲でデモっぽいの作っておいて…

つくり話 再会 12

前回の続きです。 blog.komomon.com 翌日には三木への提案の打ち合わせが設定された。 「これは早く進めないといけないから。まぁ、他の会議は社長がいれば後で聞けばいいしね。」 と言いながらスケジュールを空けてくれたらしい。ありがたい一方でプレッシ…

つくり話 再会11

またまた空いてしまいました。前回の続きです。 blog.komomon.com 彼はカウンセリングルームで酒井とメンタルケアに必要なデータについて相談をした。メンタルヘルスに関わるデータは公開されていないことが多い。もちろんデータを購入するという選択肢もあ…

つくり話 再会⑩

前回の続きです。日が空いた上にマニアックな話ですみません。。。 blog.komomon.com 彼は提案資料のための情報収集をしていた。まずサービスの対象となるSNSの利用者が、メンタルケアの必要な状態かどうかを判断する指標が必要だ。 大手企業のあるサービス…

つくり話 再会⑨

前回の続きです。 blog.komomon.com 健人はその日から宣言通り優香に貼り付いていた。一軍女子から解放された彼女は元々仲の良かった女子グループに戻り、時々健人もその輪に混ざるようになった。登下校もSPのように彼女に付き添って、朝は家まで迎えに行っ…

つくり話 再会⑧

前回の続きです。 blog.komomon.com 「情報」の授業で使うパソコンには、学校内のネットワークにつながるパソコン同士でメッセージを送れるソフトが入っていた。ただ、授業では使い方の説明はしていない。教えると友達同士で遊ぶので授業にならないからだろ…

つくり話 再会⑦

前回の続きです。 blog.komomon.com 優香からの返信は数日間来なかった。確かに知らない相手から中傷されている状態だと好んで見たくはないだろう。 彼女の過去の投稿を読んでみた。女子高生らしいケーキなどのスイーツに混ざって、花や夕焼けなどの景色の写…

つくり話 再会⑥

前回の続きです。 blog.komomon.com 結局次の週、『情報』の授業中に彼は簡単なゲームを作ってUSBメモリに入れていた。パソコンにつないでそのまま遊べるようにしてある。学校のパソコンのセキュリティーが甘くて助かった。 健人と優香は両脇から彼を挟んで…

つくり話 再会⑤

前回の続きです。 blog.komomon.com 彼と三木優香は高校2年生の同級生だった。特に親しいわけでもなく、仲が悪いわけでもない、お互い名前と顔が一致する程度の関係だった。 それが変わったのは『情報』の授業だ。パソコンを使ったプログラミングを学ぶ、と…

つくり話 再会④

前回の続きです。 blog.komomon.com 三木との話を終えて自席に戻った彼は、ノートを取り出して三木との話と優香とのやりとりを整理した。彼女への思いと技術者としての仕事は別の話だ。客観的な事実を書き込んでいく。一通り書き込んだ後、コーヒーを淹れて…

つくり話 再会③

前回の続きです。 blog.komomon.com ゴーグルの画面が真っ暗になり、メーカーのロゴが映し出されたところでゴーグルを外した。殺風景なスタジオで現実に引き戻される。 複雑そうな表情で三木がこちらを見ている。 奥から李がやってきて、笑顔でゴーグルを引…

つくり話 再会②

前回の続きです。 blog.komomon.com 「三木…?」 彼は優香の方をみて呟くように尋ねた。 「うん。佐藤くん、大人だ。 …やっぱり、佐藤くんがシュガー?」 優香は彼の顔を見ながら言った。 彼女も自分と同じようにどこかからアクセスしてるんだろうか。表情が…

つくり話 再会①

シュガーの物語の続きのお話です。 blog.komomon.com 三木に促されてスタジオの中に入ると、若い男性が奥から出てきた。 「佐藤さんですね、はじめまして。李といいます。三木さん、準備はできてますよ。今日のアバターは簡易スキャンでいいですか?」 「あ…

つくり話 シュガーの物語⑦

前回⑥の続きです。ちょい長です。 彼はまず、本業で関わっているプロジェクトリーダーに、SNSの監視システムがどうなっているかを確認した。 基本的には、不適切なキーワードを投稿した場合に、その投稿の表示制限をかけたり、悪質な場合には警告した上でア…

つくり話 シュガーの物語⑥

つくり話⑤の続きです。マニアックな話なので読み飛ばしていただいても…次のお話からちょっと展開が変わってきます。またまた空いてしまいました。。。 自分の席に戻った彼は、背もたれに寄りかかるように座ると天を仰ぎながらため息をついた。 色々考えなけ…

つくり話 シュガーの物語⑤

④の続きです。空いてしまいました。。。 採用が決まってから3ヶ月後、彼は三木の会社で働き始めた。 妻は初めこそ戸惑っていたものの、すんなり転職に賛成してくれた。というより、どちらにしても忙しくて家にいないなら、待遇が良くなる方が家計が助かる、…

つくり話 シュガーの物語④

③の続きです。ちょっとマニアック。 三木と話した後にエージェントが合流して、人事担当者を含めた形式的な面接を済ませ、その場で彼の採用は決まった。通常、エージェントは紹介先の企業の面接には初めから同行するのが一般的だが、三木の希望で後から来て…

つくり話 シュガーの物語③

②からの続きです。 「そうか…君たちは聞いていないんだね。」 静かに三木は言うと、目を伏せたまましばらく黙り込んだ。顔を上げると 「すまない、僕は君たちが娘のことをどう聞いていたのか知らないんだ。学校からはどう説明があったのか先に教えてくれるか…

つくり話 シュガーの物語②

①の続きです。 数日後、彼は面接を受けるためにその企業を訪れた。受付で名乗ると、秘書と思しき女性がやってきて役員専用フロア、会長室に案内された。 促されてソファに座り待っていると、先程の秘書が男性と一緒に入ってきた。 立ち上がり軽く会釈すると…

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