初期だけど全摘 全摘の理由と補完代替医療について
初期の乳がんなのになぜ全摘をしなければならないのか、どうしても納得がいかなかった私はそれから色々勉強しました(技術屋の性でしょうか・・・)。
非浸潤乳がん(DCIS)
色々調べて分かったことは、私の場合
・浸潤がんのようなしこりはできないらしい
・非浸潤がんのうちは転移などの恐れはなく、手術で取ってしまえばまず完治する
・がん細胞が増殖していく過程で石灰化が起きる場合がある(今回これがマンモグラフィで見つかった)
・非浸潤がんは浸潤がんに変化する場合がある
・ただし、非浸潤がんの中には進行が遅く、浸潤がんに変化するのに数十年かかるケースもあり、年齢によってはすぐに手術せず経過観察をする場合もある
ということで、調べれば調べるほど悩ましい状況でした。
※参考文献:
最先端治療 乳がん 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 他 編著
週刊 医学のあゆみ vol.261 No.5(2017) 乳癌のすべて
全摘を回避できないか
卒乳しているとはいえ、まだ小さい子供がいます。お風呂も一緒に入っているので、全摘となると子供にもショックを与えるでしょう。初期と言われると、手術せずに何とか治す方法はないだろうか、と考えずにはいられませんでした。
治療法の相談をするまでの間に、手術以外の方法についても知識を得たうえで先生と相談しよう、何とか乳がんの範囲を小さくして、全摘を免れる方法はないか、と色々調べました。
補完代替医療
補完代替医療の概要については、日本乳癌学会のホームページに説明があります。補完というだけあって、あくまでもメインの治療と併用することが前提で書かれています。
※日本乳癌学会HPより引用
私が調べた中で気になったのは
① ハーブ(ティー)と食事療法
② 温熱治療による免疫療法
③(補完ではないのですが)術前の化学・ホルモン治療
※日本乳癌学会HPより引用
です。今はNK(ナチュラルキラー)細胞など、新しい免疫療法も扱う医療機関が増えていますが、当時はまだ受けられるところが少なく、まぁとにかく高額だったので(今もそうかもしれませんが)、この時は対象外で考えてました。
①ハーブと食事療法
当時、数年前に海外で「乳癌によく効く」とされているとあるハーブが話題になっていました。このハーブの存在は父から教えてもらい、紹介サイトでは「海外(マレーシア)でステージ後期の患者に投与したら多くの患者のがんが小さくなった」という臨床試験のデータをまとめられていました。具体的な臨床実験の人数等はあったので、何かしら検証を行ったのは間違いなさそうです(本当にハーブだけの効果かは不明ですが)。ただし、臨床結果については論文など一般の人が入手できる情報や資料はなく、あくまで製造している企業に請求すると資料を送ってあげる、というものでした。
このハーブは日本では普通に入手はできず、直接個人輸入するか、国内で取り扱いのあるクリニックで食事指導とセットで受けるかの2択でした。
私がそのハーブについて気になったのは、
・1年間で効果がある、と書かれているにも関わらず、追加での臨床結果などの更新がなく、文献などでの公式な発表に関する引用情報が掲載されていない
・クリニック経由で申し込んだ場合、数か月の使用で100万円近くの高額な費用が必要
・ネットでそのハーブを飲んでいる、という人のブログで「良くなった」と書かれている人が見つからなかったこと(あとすんごい飲みにくいらしいということ)
・そのハーブの取り扱いをしていた複数のクリニックのサイトが、明らかにNK細胞の免疫療法推しにシフトしていたこと
ということで、もちろん予防や術後の参考にはなるけどこれだけに縋るのは怖い、と考えました。
※最近は一般的なハーブと食事療法で改善した、とブログで紹介されている方もいらっしゃるようなので、当時と状況が変わっているかもしれません。上記のハーブも将来的には認可される可能性もありますが、現時点でお勧めできる選択肢とは言えないため、詳細情報は伏せておきます。
② 温熱治療による免疫療法
温熱ドームのようなものに入って、患部を40度近くに温めることで、自己免疫機能(NK細胞など)を活性化させてがん細胞の増殖を抑制させるというものです。副作用が少ないのがメリットと言われています。
こちらはクリニックに行って先生に話を聞いてきました。その話は別の機会に。
③ 術前の化学・ホルモン治療
乳がんのしこりが大きい場合や、皮膚近くまで進行している場合に、切除範囲をできるだけ小さくするために手術前に薬物療養を行うケースがあるそうです。これは、術後に薬物治療が必要な場合に効果の高い薬物を確認するという意味もあるそうです。
ただし、比較的進行したケースで適用されるとあり、私の場合に適用できるかは確認が必要。
先生との治療方針を決める上で、②③が併用できる可能性があるかどうかについて聞いてみよう、と思いました。
検査技術進歩への願い
私は毎年、エコーとマンモグラフィ検査を受けていました。発覚時に至っては半年ごとです。それでも乳腺の広範囲にがんが広がるまでわからなかったのです。
おそらくもっと早い段階でMRIなどの検査を行っていれば、部分切除で済んでいたかもしれません。もちろん「命にかかわらない」症状という意味では、非浸潤がんであり、初期で分かったことは幸運だったと思います、それでもやりきれない思いがずっと残っています。新しい検査技術が開発され、それが普及してくれることを切に願います。
<追記>
上記でNK細胞による免疫療法について今調べていたら、最近患者のT細胞※を使ってがん治療の効果が確認できたようです。(まだ一人の結果なので)この治療が臨床試験などを経て一般的に使われるようになることを期待しています。
※T細胞はリンパ球の一種らしく、NK細胞と似てるけど働き方がちょっと違うらしいです、機会があれば詳しく調べてみます。