治療方針の相談と違和感 そしてセカンドオピニオンへ
治療方針を相談するために病院に行く前に、夫と実家の両親に現状を説明しました。
夫はとりあえず一緒に行くとは言ったものの、命に係わる可能性は低いことに安心したのか「病院の方針に任せれば?」といった感じで割とドライでした(今にして思えば大騒ぎされるよりはマシなのですが、「意味分かってる?」と思ってました)。
母は私と同じで「初期なのに全摘するっておかしいんじゃないの?」という意見でした。母は以前良性の腫瘍の手術で別のがん専門病院にかかっていたことがあります。場合によってはその病院の方が良いのでは、と言われ、治療方針を聞きに行くときに来てもらうことになりました。
夫と母を引き連れて病院に行き、治療方針について先生から説明を受けました。
先生から言われた治療方針は
・右乳房の乳頭を含む乳腺を全摘出
・残った皮膚に対して放射線治療
・これが落ち着いたらホルモン療法
・乳房再建手術(きれいになる)
というものでした。
この方針に対して私は、以下の事を質問しました(詳細は前回のページを参照ください)。
・免疫療法など手術以外の方法は適用できないか
・術前薬物療法や放射線照射により摘出範囲を小さくすることはできないか
・子供が小さいので再建手術を希望するが、再建までどの程度の期間が必要なのか
しかし、この質問で先生の態度が一変します。
「ここまで範囲が広がっているから全摘するしかない。非浸潤がんのうちは薬剤投与しても効果はないから小さくすることはできない。あとはあなたが決断するだけ!今は放っておいてもすぐに死なないけど、10年もすればガチガチに固まってしまう。そうなってから泣きつきに来る人がいるけど、そうなってからでは遅い!」
「手術後の再建は、放射線治療をすると皮膚が固くなるからすぐにはできない。それは仕方のないこと、子供には分かってもらうしかない」
誤解のないように言っておくと、この先生は乳がんの治療において名医と言われている先生です。いい先生だしいい病院だと思います。おそらくこのように言われたのは「絶対に死なせない」ために最大限できることをするとこうなる、ということなんだと思います。もっと進行した人たちをたくさん見ている先生にとって、私の悩みはとても贅沢(おそらく許しがたい甘え)だったんでしょう。
私は手術が嫌だったわけではありません。私に与えられた選択肢は他にないのか、その中で自分が最適だと思うものを選びたかったのです。その気持ちに応えてもらえないと感じた私はどうしてもこの先生にお願いしたいとは思えませんでした。
そして最後絞り出すように
「セカンドオピニオンを聞きたいので、紹介状を書いてもらえませんか」
とお願いしました。
先生はもう勝手にすればいい、という様子で紹介状を出す病院はどこがいいか、と確認しました。私は母が以前かかった病院の名前を告げ、紹介状をもらって帰りました。
診察のあと、母にも夫にも「あの検査結果では全摘になるのはしょうがないよ」と言われましたが、いずれにしても私はこの病院で手術してもらいたいと思えませんでした。