技術者ワーママ こころとからだの修理日記

技術職のワーママです。初期乳がん見つかったりうつになったり。でも何とか生きてます。

技術者って色々大変なんですよ、というつぶやき

私も技術者のはしくれなのですが、とある記事を読んでとても身につまされる思いだったので、現場の技術担当者の立ち位置から、今どれほどの能力が求められているのか、ということについてお話ししたいと思います。

(メインのブログテーマとかけ離れていてすみません)

 

プレゼンのポイントとは

是非下の記事を読んでみてください。 

gigazine.net

 

なかなかインパクトのあるタイトルです。記事には色々難しいことが書いてありますが、一言でまとめると

重要な結論があるのであれば、それが明確に分かるようなプレゼン資料にしなさい

ということです。はい、その通りですね。

でも、何となくエンジニアがこのプレゼン資料を使った気持ちもわからないでもないなぁ、と思わずにいられませんでした。

 技術のプレゼンは難しい

 今、基本的には技術開発が行われている組織の偉い人の多くが、これを求めているのではないかと思います。上記の記事はNASAの担当者にボーイング社のエンジニアがプレゼンした際の資料の問題点を指摘したものです。これは例えば企業における一つのプロジェクトのチームリーダーが経営者にプレゼンする、というのに近い状況です。

 技術者は自分が関与するプロジェクトについて誰よりも深く理解している必要があります。一方で、その技術をほとんど知らない偉い人に、分かりやすく、かつ自分たちに都合の良い方向に(経営)判断をしてくれるように導くプレゼンをすることが必要です。

 もともとが原理的にわかりやすい技術であれば、それほど難しくはありません。ただ、新しい技術の大半は複雑な要素が絡み合っていたり、まだ解明されていないことがあるのが普通です。これを素人に説明するためには技術の詳細を省略したり、場合によっては本質ではないところを厳密には正しくないが分かりやすい表現に変えたりすることもあります。その方が受け手の理解が進んで判断が早くなるからです。そして、たいていの場合、このような配慮ができるリーダーは高い評価を得て早く出世したりします。

 ただ、分かりやすくするために厳密には正確でない資料を作る、というのは最もこの技術に詳しいと自負している技術者にとって良心の呵責を感じる行為なのです。もちろん今でいうコンプライアンスに違反するような行為ではなかったとしても、我々の仕事はそんな単純なものではないのだ、というプライドみたいな。その意味では、おそらく彼らは誠意を持って、ひたすら正しい情報を資料に並べたのではないかと思います。それが「結論が分かりにくい資料」につながった要因の一つなのかなぁ、と技術担当者の立場を想像しています。

 技術者だってサラリーマン

 あともう一つ気になっていること。NASAの担当者とボーイング社のエンジニアとの関係です。例えば、NASAからの支援を受けているプロジェクトで、この時点でNASAの担当者から「(スペースシャトルの)乗員の安全がもちろん最優先なんだけど、今回の検証で追加の対応が必要となると、時間的にも予算的にも厳しいよなぁ」みたいな空気感が出ていたりしたら、エンジニアは「過去の検証データはもっと規模の小さい条件だったから、現在のシャトルの状況はとても危険だ」と断言することはできるでしょうか?根拠を示すのは簡単ではありません。例えば、過去の検証データに対して、今の状況を比べた時に機体にかかる負荷はこれくらい、といった計算データがすぐに算出できるのであれば提言は可能です。でもその時間的猶予が彼らに与えられていたかは分かりません。

 直観的には危ないと思っていても、それが検証できない場合、技術者に出来ることは多くはありません淡々と検証結果を並べたうえで、「これは危険だということに気付いてほしい」ともしかしたら彼らは願っていたのかもしれません。だたし現在のようにコンプライアンス意識が高い社会であれば、違った結果になっていたのではと思います。

 技術者の責任は重すぎる?

 技術者は単純に技術を追求するだけではなく、「時間的にも予算的にも制限のある中で実現」した上で「分かりやすくデフォルメして技術を伝える」ことと「コンプライアンスを守る」という多くの両立を求められています。これは簡単なことではないのに、簡単ではないと認識されていないことが技術者を苦しめるのです。これを技術者だけに背負わせずに、組織全体でこの問題に向き合っていくことが、これからは求められて行って欲しい、といち技術者として願わずにはいられません。

 

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 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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