職人気質
今日は夫の話です。
コロナで学校行事が減り、在宅勤務が続いたおかげで、有給が溜まっておりました。
ありがたいことに年休取得を推奨される職場なので、夫と一緒に有給を取ることに。というより夫に取らされました。
なんでも、料理するのに新しい包丁と砥石(包丁を研ぐアレ)が欲しいので都内の専門店に買いに行きたい、とのこと。
ウチには包丁が割と豊富にあります。以前魚屋さんでバイトしていた夫は、魚を捌くのが得意。お刺身の盛り合わせも綺麗に仕上げてくれます。
妻としては魚料理のバリエーションが豊富なのはとても助かるしありがたい、のですが、そこまでしなくても…というのと、一人で行ってくれてもいいのだけれど…と思ったりもするわけです。そう言ったら、寂しいなぁ〜、とやさぐれたのでやむなく?同行。
平日の出来るだけ混まない時間帯を狙って電車に乗って浅草へ。天気があまり良くなかったこともあり、人通りは少なめでした。
浅草にはいわゆる厨房で使われるような業務用調理器具、食品サンプルなどの専門店が集まっている場所があります。ブラブラ歩いて食器などを眺めながら、お目当の包丁専門店へ。
お店に入って並んだ包丁を見ていると、店員さんに声をかけられました。
店「何をお探しですか?」
夫「柳刃(刺身などを切る時に使います)をちょっと探してて。」
店「この辺ですね、こちらが鋼、こっちはステンレス。ステンレスも金属の割合が違います、モリブデンとか。」
夫「なるほど…あぁ、ふーん(手に取って比べる)」
しばらく比べた後包丁を戻すと、
夫「すみません、あと砥石も探してて。番手の高いの(番手の数が多いほど石が細かく研ぐ時により刃がシャープになる)買いたいんですよ。番手が高いのってたくさんありますけど、どれくらいのを買えばいいんですかね?」
店「あぁ〜。番手が高いのはもう趣味ですねぇ。えぇと、おすすめなのは6000番くらいですかね、細かいのは10000番とか、30000番とかありますけど、もう6000番位で切れ味は十分です。切れるだけなら3000番でもいいんですが、お客さんに出す商品の切り口が6000番だと綺麗に見えるんですよね。」
夫「へぇ、そうなんですか。もっと高いの買おうと思ってたんだけど。まぁ家の料理で使うんですけどね。」
店「…えっっ!?」
夫「えっ?」
私「あっ…料理人じゃないんです (^_^;)」
夫「あぁ、職人じゃないです」
店「あぁ…(察し)」
そしてその店員さんが苦笑いしながら出してくれたのがコレ。
これと夫が気に入った包丁、ついでに私の三徳包丁と子供用にセラミックス包丁を買いました。店員さんが妙に私に優しかったのは多分同情してくれたに違いない。
夫はこれで満足したらしく、あとはお箸屋さんでちょっといいお箸買って、ランチにどじょう鍋食べて帰りました。
買って帰って、軽く研いで、刺身切ってすごい満足そうでした。夕食のおかずが増えるので私も嬉しい。win-winです。
それにしてもあの店員さんの反応が面白すぎて忘れられません。私の気持ちをわかってくれる人がいてちょっと嬉しかったです。